相続放棄のメリット・デメリットと手続の流れ | ポライト法律事務所－江東区門前仲町駅

相続放棄とは
相続放棄のメリットとデメリット
1. メリット
2. デメリット
相続放棄の手続の流れ
まとめ
1. メリットとデメリットの考慮と財産の正確な調査
2. 悩んだら弁護士に相談

相続放棄とは

　相続放棄とは、その名のとおり、「相続」する権利を「放棄」することです。相続放棄をすると初めから相続人とならなかったものとみなされるため（民法９３９条）、亡くなった方の借金などを引き継がずに済むことになります。

相続放棄のメリットとデメリット

メリット

　相続放棄の最大のメリットは、亡くなった方（被相続人）の借金などの負債を相続せずに済むという点です。財産も相続できなくなってしまいますが、負債が資産よりも多い場合などには、相続放棄をした方が、単純に相続するよりも金銭的なメリットがあるといえるでしょう。
　また、相続の面倒事から逃れることができるのもメリットであるといえます。始めに記したように、相続放棄をすると、初めから相続人とはならなかったものとみなされます。そのため、他の相続人とのやり取りなどをする必要がなくなり、相続に関する揉め事や面倒なやり取りから離れることができます。

デメリット

　相続放棄のデメリットは、一度相続放棄をすると後から撤回することができないという点です。後から多額の資産が見つかった場合などでも相続放棄を撤回することはできないため、金銭面のメリットを得るために相続放棄をする場合には、相続放棄をする前にしっかりと財産調査をする必要があります。
　また、相続放棄によって次の順位の相続人に相続の権利が移った場合、トラブルになる可能性があるという点もデメリットといえます。相続放棄は、初めから相続人とはならなかったものとみなされるため、相続する権利が次順位の相続人に移ることがあります。その場合、相続する権利が移ったことを知らないまま、財産を処分してしまう可能性があったり、財産の詳細を知らないまま相続してしまったりする危険性があり、それが基になってトラブルになることも考えられます。相続放棄をする際には、影響を与えてしまう人に対して連絡をするなどを検討すると良いでしょう。

相続放棄の手続の流れ

手続の流れ

　相続放棄をする際には、家庭裁判所にその旨を申述しなければならないと定められています（民法９３８条）。しかし、相続放棄の申述をする前には、財産調査や戸籍等の取得などをする必要があります。ここでは、相続が発生してから相続放棄の手続が完了するまでを流れに沿って見ていきます。

財産調査

　相続が発生した際、まず行わなければならないことは、財産の調査です。相続放棄を検討するにしても、財産の詳細がわからなければ判断ができません。また、結果的に相続することになったとしても、遺産分割協議をする際などに財産の詳細が必要になってくる場合があります。そのため、財産調査を第一にすべきであるといえます。
　財産調査は、まず、通帳・キャッシュカードや郵便物などから、資産がありそうなところを漏れなく探します。また、負債についても、明細書等の郵便物や消費者金融のキャッシュカードなどを手掛かりとして、負債の有無や金額を調査します。借金をしていることが確かな場合には、信用情報機関に情報開示を求める方法もあるでしょう。忘れがちなのは、保証債務です。保証人となっていそうな手掛かりがあった場合には、詳細を調査する必要があります。
　そうした調査を経て、財産の詳細を把握し、資産額や負債額を確定します。

戸籍等の取得

　財産調査を経て、相続放棄をすることを決めたら、相続放棄の申述に必要な書類を集めます。
　必要書類は、大まかに説明すると、①相続放棄の申述書、②被相続人（亡くなった方）の住民票除票又は戸籍附票、③申述人（相続放棄する方）の戸籍謄本、④＋αです。
　④については、相続放棄をする方がどのような立場（配偶者 or 子 or 直系尊属 or 兄弟姉妹など）で相続人となったのかによって必要書類が異なります。
　詳しくは、相続放棄申述書の記入例などとともに、裁判所のウェブサイトに記載されておりますので、そちらでご確認ください（裁判所ウェブサイトはこちらから）。