遺産分割協議とは

 遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産をどのように相続人間で分割するかを決めるための協議のことです。遺産分割協議については、以下の記事で詳しく説明しています。

遺産分割調停とは

 遺産分割調停は、遺産分割協議で意見がまとまらなかった場合や、そもそも遺産分割協議をすることができなかった場合などに、裁判所で遺産分割について話し合う手続です。
 遺産分割調停は、申し立てる相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は合意によって定めた家庭裁判所に申し立てることによって開始されます。
 以下では、申立てから調停の終了までの流れを見ていきます。

遺産分割調停の流れ

申立て

申立てに必要な書類

 申立てに必要な書類は①申立書とその写し(相手方の人数分)と②申立添付資料です。
 申立添付資料は、被相続人の戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本・住民票、遺産に関する証明書などです。
 申立書の記入例や申立添付書類の詳細については、裁判所ホームページをご覧ください(裁判所ホームページはこちらから)。

申立てに必要な費用

 申立てに必要な費用は、被相続人1人につき1200円分の収入印紙と連絡用の郵便切手です。
 郵便切手の料金については、各家庭裁判所によって運用が異なるため、申立てをする家庭裁判所のHPを見たり、電話をしたりして確認します。

期日決定

 申立てが受理されると、家庭裁判所によって調停期日が決定され、申立人と相手方に通知されます。調停期日は申立後約1か月~1か月半程度の日が指定されることが多いように感じます。
 調停期日が通知される際、相手方には答弁書の記入用紙などが一緒に送付されるため、裁判所からの書類をよく読んで書類に記入を行うことが必要になります(相手方が記入する書類の例はこちらからご覧ください)。

調停期日

 調停期日の当日は、家庭裁判所に行き、期日通知の際の書類の記載に従って、待合室又は受付に行きます。
 待合室に行く場合には、申立人待合室と相手方待合室の2つに分かれているため、自分がどちらの待合室を使うのかを間違えないようにしましょう。
 調停は、調停委員会によって進められます。調停委員会とは、裁判官1名と調停委員2名(ほとんどの場合、男女1名ずつの計2名)で構成されるもので、通常、裁判官は調停期日には現れないため、調停委員2名によって期日が進められることになります。
 調停期日では、基本的に、申立人と相手方が交互に調停室に呼ばれ、調停委員と話をすることになります。1回30分程度、事情を聞いたり、主張を述べたりして、交代となります。これを申立人と相手方で2回ずつ行い、約2時間程度で期日が終了となるというのが基本的な流れになります(申立人や相手方の人数が多い場合などは異なる進行になってくると思います)。
 遺産分割調停は、遺産分割協議で意見がまとまらなかった場合や、そもそも遺産分割協議をすることができなかった場合などに、裁判所で遺産分割について話し合う手続ですので、1回目の期日で話がまとまることはほとんどありません。裁判所の統計によれば、半年~1年で終了するものが最も多く、中には3年以上の期間を要するものもあります(裁判所ホームページの司法統計年報(家事編)を参照。第45表に記載があります。)

調停の終了

調停成立の場合

 遺産分割調停で話がまとまった場合、双方で合意した内容を記した「調停調書」が作成されます。
 その後、調停調書によって、各種の名義変更手続などが行えるため、各機関などで手続を進めることになります。

調停不成立の場合

 遺産分割調停で話がまとまらない場合、自動的に遺産分割審判へと移行します。
 遺産分割審判では、裁判官が、双方から提出された資料などを踏まえて、審判を下します。

まとめ

遺産分割協議が整わなかった場合には遺産分割調停

 以上のように、遺産分割協議がうまくいかなかった場合には、遺産分割調停という裁判所での手続において、調停委員という第三者を交えて遺産分割について話し合うことになります。
 遺産分割調停は長期間に及ぶものもあり、調停が不成立の場合には、遺産分割審判という次の手続に移行することになります。

調停委員に自分の主張をしっかりと伝えることが重要

 遺産分割調停では、調停委員に自分の主張を明確に伝えることが重要です。その際、客観的資料を準備して、それに基づいて主張をしたり、正確な法的知識に基づいて主張をしたりすると、調停委員に対して明確に主張が伝わり、納得させることができるでしょう。
 また、調停期日では、冷静に主張を伝えることも重要です。感情的になってしまっては、調停委員に正確に主張を伝えることができなくなってしまいます。
 これらの注意点を踏まえると、遺産分割調停において、弁護士に依頼することも1つの手段です。弁護士は客観的資料に基づき、法的な主張を正確に、かつ、冷静に伝えることができます。遺産分割調停では弁護士を付けているケースが多いため、相手方の弁護士への主張に的確に反論するためにも、弁護士への依頼は効果的でしょう。遺産分割調停を申し立てる方、又は、申し立てられた方は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。